トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ RSS ログイン

特別講演

 特別講演

  • 日時
2009年3月5日(木) 16:30〜17:30
  • 講演題目
「生体運動系の制御構造」
  • 講演概要
生物の運動制御系は,行動を出力し,情報を受け取る<身体>,制御中枢である<脳>,
およびそれらと相互作用する<外部環境>から構成される.身体は多数のセンサ(受容器),
アクチュエータ(効果器)を通して,脳と環境との相互作用を媒介する.
したがって,脳(制御中枢)にとって,身体および環境は制御すべき対象であり,
外部ダイナミクスに相当する.身体は一方で,脳と結合して,内部ダイナミクスを形成する.
身体を媒介とするこの内部ダイナミクスと外部ダイナミクスの動的関係を目的・タスクに適合した
特性に自ら調節することが運動・行動制御の本質である.
また,生物の運動制御では,さまざまな形で予測機能が重要な役割を果たしている.
たとえば,サッカー選手がゴール前でヘッディングシュートを放つためには,
ボールがゴールに向かって蹴られた直後から落下点までの軌道やゴールキーパーの動きがイメージ
できなければならない.このような予測機能を実現するためには,身体-環境系の内部表象,
つまり内部モデルが脳内に形成される必要がある. 
本講演では,内部モデルと予測機能の関係,および内部モデルを中心とする
運動制御の機能的アーキテクチャについてシステムモデルの観点から考えてみたい. 
  • 講演者
伊藤 宏司 先生(東京工業大学)

略歴:1969年名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了.
1970年名古屋大学工学部自動制御研究施設助手.
1979年広島大学工学部第2類(電気系)助教授.
1992年豊橋技術科学大学情報工学系教授.
1993年10月より1996年3月まで,理化学研究所バイオ・ミメティックコントロール研究センター,
チームリーダー併任,1996年4月より,東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻教授,
現在に至る.生体運動制御,ロボティクス,ヒューマンインタフェースの研究に従事.
計測自動制御学会,電子情報通信学会,日本ロボット学会,IEEEなどの会員(工学博士).
身体知システム論(共立出版,2005),知の創発-ロボットは知恵を獲得できるか-(NTT出版,2000),
生体とロボットにおける運動制御(コロナ社,1991)などの著書がある.